ナチスの発明 ―特別編集版―
- 作者: 武田知弘
- 出版社/メーカー: 彩図社
- 発売日: 2013/05/24
- メディア: Kindle版
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面白かった。
今では悪役として便利に使われているナチスですが、別の視点が欲しいなぁと思い読みました。
前半はタイトルの通りですが、後半は人物紹介の構成になっています。
科学技術の高さが凄いですね。
目的のために科学技術を発展させ、結果的に人類に影響を与えています。
フォン・ブラウンは、ガンダムの月面都市の名前として使われているので、出てきたときはテンションがあがりました。
ロケットの歴史は戦争が大きく関わっており、その話も非常に楽しそうです。
終戦間際のゴタゴタ時には、どこの国も人材なり技術なりの火事場泥棒みたいな行為をしているんですかね。
その結果、米ソ冷戦となっていくのは、歴史を感じれて、とてもいいですね。
アウトバーンなどの公共事業で流れるお金を監視して労働者に分配されるようにしている点は、ちょっと感動しました。
本書では、別で書かれていましたが、フォルクスワーゲンの話も非常に面白かった。
アウトバーンとフォルクスワーゲンをセットで見ると「自らで整備した道路を国産車で走る」ってのは、夢がありますね。
ナチスは功罪が凄いので、色んな視点で研究がされていそうです。
世論としては悪ですが、色んな本がありそうです。
1984年 ─まんがで読破─
- 作者: ジョージ・オーウェル,バラエティ・アートワークス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/08/02
- メディア: Kindle版
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全体主義怖い。
社会を構成するグループを3つに分けて目的を書いているのは面白い。
上位層の目的は現状を維持すること、中間層の目的は上位層と入れ替わること、下位層は目的があるとすれば平等な社会の実現とありました。
前に読んだ共産党宣言では、労働者と資本家といった2つの構造でしたが、今回は違いますね。
共産党宣言は、労働者による革命なので下位層による社会構造の破壊でしたが、こっちは、上位層による権力を維持するためのお話ですね。
中間層の目的は上位層と入れ替わることなので、上位層はいかに中間層を管理するのかに注意をはらっていますね。
その手段の1つに戦争を続けることで、富を消費して分配させないってぶっ飛んだことしてますね。
マジでクレイジーです。
あまり描写がありませんが ニュースピーク は相当ヤバいですね。
言葉そのものを削っていくってのは恐ろしい。
感情を言葉にしたのではなく、言葉があるから感情を理解できるっと、私は思っているので、言葉自体を削っていくと、感情がどんどんなくなっていきます。
作中では党に不利となる言葉を消していっているみたいですね。
2重思考は「1人の人間が矛盾した2つの信念を同時に持ち、同時に受け入れることができる」とありますが、それって思考停止状態なのではっと思いました。
党のいう事を矛盾なく受け入れるので思考停止という表現が正しい気がしますが、作中での言葉なのであんまり気にしてもしょうがないですね。
これは、どこぞの隣国を思い出しますね。
過去の歴史を改ざんしまくって、反日しまくっているのに、日本に旅行に行きます!みたいな。
いろいろと示唆に富むというか、規模はともかく似たような状態になっている所ってあると思います。
漫画版なので、かなり省いていそうですが、原作はもっと凄いんでしょうね。
武士道 ─まんがで読破─
- 作者: 新渡戸稲造,バラエティ・アートワークス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/06/28
- メディア: Kindle版
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まぁまぁ面白かった。
旧五千円札の男 新渡戸稲造 が武士道を定義したんですね。
定義にいたる動機って、あれでいいのかなぁ。
別に説明できなくてもよくね?って思っていましたが、武士道 (PHP文庫) の説明を読んで、納得しました。
- 作者: 新渡戸稲造
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/08/06
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かつての日本には、わが国固有の伝統精神があった。武士道もそのひとつである。それは、新渡戸稲造が1899年に英文で『武士道』を発表し、世界的な大反響を巻き起こしたことでもわかる。▼当時の日本は、まさに文明開化の真っ只中であった。怒涛の如く押し寄せる西洋の新しい価値観によって、社会全体がことごとく西洋化していった。その変わりゆく姿を見て、新渡戸稲造は「日本人とはなにか」を問い直そうと考え始めた。そして彼は失われゆく日本の伝統精神を振り返ったとき、「武士道」こそが、日本人の精神的支柱であり、それを世界に広く紹介することが日本のためになると考えた。
世界的に大反響で、国内への影響もあわせると、お札になるだけの人物だと思えますね。
正直、武士道の内容については、盛ってるだろお前とは思います。
外の世界を見た 新渡戸稲造 だからこそ、改めて日本を客観的に見て、定義できたと言えるでしょう。
以下、抜粋。
- 義 = 打算や損得を超越し、自分が正しいと信じる道を貫く
- 勇 = 義を貫くための勇気(正しいことを実行すること)
- 仁 = 人としての思いやり、他者への憐みの心
- 礼 = 他者の気持ちを尊重することから生まれる謙虚さ(他者に対するやさしさを型として表したもの)
- 誠 = 文字通り言ったこと成す
- 名誉 = 自分に恥じない高潔な生き方を守ること(恥を知ること)
- 忠 = 自発的なものであり、己の正義に誓うもの
改めて見ると素晴らしいですね。
人生の指標になりますね。
後半の忠臣蔵の話は、知らなかったのでよかったです。
これは人気でますね。
最後は切腹で死ねて本望は、現代では理解しかねますが、筋を通した人生は充実しているなぁとは思います。
エピローグはダメですね。
「軍隊組織が武士道を利用するかもしれない」って、言葉を曖昧にして主張を混ぜてくるなよ。
これ原作にあるんだろうか?
武士道が発刊された後に出てきたであろう自虐史観を混ぜてるよね。
最後らへんだけ残念。
共産党宣言 ─まんがで読破─
- 作者: マルクス+エンゲルス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/06/28
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よくできてるなぁ。
構成が面白いですね。
教科書的な表現、話の展開なんですが、急にマルクス、エンゲルスの霊体みたいなものが出てきたりする。
初めのほうはナレーション入っていたのに、解説役で急に出てくるんだもん。
初めて読むと、途中まで共産主義を肯定したいのか否定したいのか、わからないですね。
2周目して、やっと、あっこれ、真面目に主張してたんだと気づきました。
それぐらい過激というか常識からズレているのを感じました。
労働者階級が団結する事によって、既存権力の転覆が可能になる。
転覆を実行する事により、資本主義から労働者を中心とした共産主義の社会を実現する。
ってのを目指しているみたいですね。
労働者を団結させるために、あえて労働環境を悪くしましたって凄いね。
完全に先導してるんだけど、これも理想のためか。
作中では、その思想がナンバー2による下剋上に利用されていたりと、やっぱりなーって展開もあっていいですね。
他にも紛い物の共産主義をあげて、本当の共産主義は現実をきちんと分析して「科学的」な根拠をもとに実行すべきと、説明の流れがとてもうまいですね。
ルンペンプロレタリアをボロクソに書いていて笑う。
同族嫌悪に近い感情なんですかね。
同じ立場なのに、足引っ張りやがって、頭悪すぎだろってのが伝わってきます。
労働者側がやたらと暴力的なのって、社会構造自体が資本家によって都合よく作られている=社会暴力なので、それに対抗するために物理的な暴力を使うって理論みたいですね。
労働者側で見た場合には筋が通って見えます。
これしか手段がないともいえますね。
俺たちは弱者なんだ!って意識は、一種の被害者意識となって、暴力の行使を容易にするんですかね。
この漫画を見ていると、共産主義者がやたらと何かにつけて反対している理論がわかってきます。
読んで思うんですが、共産主義はヨーロッパ産の思想で、歴史的・文化的に日本には合わないですね。
すでに緩やかな社会主義的な性質を持ち合わせている日本ではやる意味がないと思うんです。
あくまでも政治的な道具になっちゃうんじゃないかなぁ。
大変勉強になる漫画でした。