戦争にチャンスを与えよ

非常に面白かった。

本のタイトルは過激ですね。
内容は非常に現実的な内容でした。

読み終わって思うのは「平和を望むなら、戦争を知る必要がある」でした。
この本にも「平和を望むなら戦に備えよ」という格言が書かれていました。

日本で戦争となると、個人の悲惨な体験などに焦点がいきがちですが、広い視野で戦争とは何かを知る必要がありますね。

平和と戦争って表裏一体だという事に気づきました。
戦争の始まりは平和の終わりを意味し、戦争の終わりは平和の始まりを意味するからです。

戦争の始まりを知れば、平和を長く続ける具体的な行動が取れますし、戦争の終わりを知れば、いかにして戦争を終わらせて、平和な世にするのか具体的な行動が取れます。
「まぁ大丈夫だろう」ではなく、知る必要があります。


読んでいて疑問に思える部分もありました。
たびたび降伏すれば平和が訪れる的な発言がありました。

ですが、国にとって譲れない部分があり、日本だと天皇など国体に大きく関わる部分です。
降伏する事で、それらが大きく損なわれる事になれば、その後の平和、復興にどれだけの影響があるのか、わかりません。

著者は俯瞰して物事を見ているので、降伏すれば、生命という1つの単位がより残るよ、ぐらいで考えて発言していそうです。
それまで現実的な理論で語っていたのに、急に投げっぱなしというか雑な意見に思えました。
ここらへんは、考え方の根底に何があるのか知らないと、わかりようがないですが。


戦略の重要性については、戦国武将を上げて説明していて非常にわかりやすく親近感がわきます。
大きな戦略の前には、1つの戦術的勝利なんて意味がないのは、悲しいけど真理ですね。

逆説的理論(パラドキシカル・ロジック) という概念は凄いですね。
戦略は相手がいる事を前提とし、理論が適用される点を意識する事が重要ですね。
とてもできそうにないですが。

色々と示唆が多く、疑問もあり、読んでおいた方がいい一冊です。