- 作者: マルクス+エンゲルス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/06/28
- メディア: Kindle版
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よくできてるなぁ。
構成が面白いですね。
教科書的な表現、話の展開なんですが、急にマルクス、エンゲルスの霊体みたいなものが出てきたりする。
初めのほうはナレーション入っていたのに、解説役で急に出てくるんだもん。
初めて読むと、途中まで共産主義を肯定したいのか否定したいのか、わからないですね。
2周目して、やっと、あっこれ、真面目に主張してたんだと気づきました。
それぐらい過激というか常識からズレているのを感じました。
労働者階級が団結する事によって、既存権力の転覆が可能になる。
転覆を実行する事により、資本主義から労働者を中心とした共産主義の社会を実現する。
ってのを目指しているみたいですね。
労働者を団結させるために、あえて労働環境を悪くしましたって凄いね。
完全に先導してるんだけど、これも理想のためか。
作中では、その思想がナンバー2による下剋上に利用されていたりと、やっぱりなーって展開もあっていいですね。
他にも紛い物の共産主義をあげて、本当の共産主義は現実をきちんと分析して「科学的」な根拠をもとに実行すべきと、説明の流れがとてもうまいですね。
ルンペンプロレタリアをボロクソに書いていて笑う。
同族嫌悪に近い感情なんですかね。
同じ立場なのに、足引っ張りやがって、頭悪すぎだろってのが伝わってきます。
労働者側がやたらと暴力的なのって、社会構造自体が資本家によって都合よく作られている=社会暴力なので、それに対抗するために物理的な暴力を使うって理論みたいですね。
労働者側で見た場合には筋が通って見えます。
これしか手段がないともいえますね。
俺たちは弱者なんだ!って意識は、一種の被害者意識となって、暴力の行使を容易にするんですかね。
この漫画を見ていると、共産主義者がやたらと何かにつけて反対している理論がわかってきます。
読んで思うんですが、共産主義はヨーロッパ産の思想で、歴史的・文化的に日本には合わないですね。
すでに緩やかな社会主義的な性質を持ち合わせている日本ではやる意味がないと思うんです。
あくまでも政治的な道具になっちゃうんじゃないかなぁ。
大変勉強になる漫画でした。